1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問1:令和元年度

EchoLand-plus

二段一弾膨張冷凍装置です。

 中間冷却器の熱収支さえ組み立てることができれば、あとは2冷レベルです。

第一種冷凍機械責任者試験 令和元年度(講習検定試験)

問1 R410Aを用いた二段圧縮一段膨張冷凍装置の理論例サイクルおよび圧縮機の仕様を下記に示す。この冷凍装置を運転したとき、次の(1)~(5)について、それぞれ解答用紙に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱となって冷媒に加わるものとし、機器および配管と周囲の間で熱の出入りはないものとする。

(20点)

令和元年度1種冷凍講習検定試験問1冷凍装置の仕様

令和元年度講習検定試験問1。問いの線図

 (1) 低段側冷媒循環量qmro(kg/s)を求めよ。

 (2) 低段側圧縮機吐き出しガスの実際の比エンタルピーh2'(kJ/kg)を求めよ。

 (3) 中間冷却器へのバイパス冷媒循環量q'mro(kg/s)を求めよ。

 (4) 実際の凝縮負荷Φk(kW)を求めよ。

 (5) 圧縮機の総駆動軸動力P(kW)を求めよ。

なにはともあれ、概略図と(線図)を描きましょう。

第一種冷凍機械責任者学識【講習検定】令和元年度問1線図(二段圧縮一段膨張) 第一種冷凍機械責任者学識【講習検定】令和元年度問1概略図(二段圧縮一段膨張)

 数値を書き加えるとウッカリミスが減るかもね。概略図もサクッと描けられれば鬼に金棒です。 目をつぶっても描けるぐらいなら合格!

(1) 低段側冷媒循環量qmro(kg/s)を求めよ。

 2冷レベルです。

Φo = qmro(h1 - h8)の説明用概略図

基本式
Φoとqmroの基本式

 ここに、h7 = h8

 では、
Φoとqmroの基本式へ数値代入

  答え 0.402 (kg/s)

(2) 低段側圧縮機吐き出しガスの実際の比エンタルピーh2'(kJ/kg)を求めよ。

 2冷レベルです。

h2'の説明用概略図
h2'を求める

 長々と書いていますが、本番では思いっきり短縮してください。どんなふうにするかは、過去問をこなせばわかってくるでしょう。

  答え 465 (kJ/kg)

(3) 中間冷却器へのバイパス冷媒循環量q'mro(kg/s)を求めよ。

 2つの方法を記しておきます。

方法1
中間冷却器の説明用概略図2

 基本式はこれ、qmrk=q'mro + qmroの式

 基本式からq'mroを含めた熱収支式を導き出します。図を見ながら、いつものように、左辺に入るもの、右辺に出るもので式を組み立てましょう。 ここで、注意) h2は、h2´とすること。

基本式からq'mroを含めた熱収支式。左辺に入るもの右辺にないるもの

 ここで、qmrk=qmro+q'mro なので、

qmroとq'mroのみでまとめた熱収支の式

 整えます。

qmroとq'mroのみでまとめた熱収支の式を整える

 さらに、qmroを左辺に、q'mroを右辺に、整理整頓しましょう。

qmroを左辺に、q'mroを右辺に、整理整頓。熱収支の式を整える
中間冷却器の熱収支式説明用線図

 ここでまとめましょう。p-h線図を見ると「な~るほど」と式の意味がわかってくることでしょう。

中間冷却器熱収支の式ができました。

 この式が模範解答やテキストに、いきなり載っている熱収支の式です。本番では、導き出す部分を省いてこの式をサクッと記したほうが良いでしょう。(意外と解答欄は狭いです。)

 よって、q'mroは、
中間冷却器熱収支の式より、q'mroを求める式。

 では、数値代入しましょ。
中間冷却器熱収支の式より、q'mroを求める式。に数値代入。


方法2
中間冷却器の説明用概略図1

 基本式はこれ、qmrk=q'mro + qmroの式

 式が簡略できるので、点6(q'mro)を点5(qmrk)に含まれるものとしてみます。左辺に入るもの、右辺に出るもので式を組み立てます。
  ここで、注意) h2は、h2´とすること。

左辺に入るもの右辺にないるもの、の式

 qmroを左辺、qmrkを右辺にまとめます。

qmroを左辺、qmrkを右辺にまとめた式

 はい、これで熱収支の式が出来上がりです。

 熱収支式からqmrkを求めます。
qmrkを数値代入して求める。

 では、基本式からq'mroを求めましょう。
基本式からq'mroを求めましょう。


 くどいですが、本番ではこんなに長々と式を書きません。大胆に短縮してください。


  答え 0.149 (kg/s)

(4) 実際の凝縮負荷Φk(kW)を求めよ

 これは、2冷レベルですね。

 基本式は、もちろんこれ。

  Φk = qmrk(h'4 - h5)

 ここで、全問でせっかくqmroとq'mroを求めたのですからこれを使うことがスマートでしょう。

 はぃ、qmrk=qmro+q'mroですから、

  Φk = (qmro + q'mro) × (h'4 - h5)


 h'4を求めておきましょう。
qmroとq'mroを使ってΦkを求める式

 では、数値代入しましょ。

  Φk = (qmro + q'mro) × (h'4- h5)
    = (0.402 + 0.149) × (469 - 257)
    = 0.551 × 212 = 116.812
    ≒ 117

  答え 117 (kW)

(5) 圧縮機の総駆動軸動力P(kW)を求めよ。

 3冷レベル!?

 P=Φk-Φo=117-80=37

  答え 37 (kW)

コメント

 中間冷却器の熱収支式が導きすことができれば楽勝でしょう。

訂正箇所履歴

【2020(R01)/03/23 新設】

  • (1)の式訂正:「qmr」→「qmro」、「Φo=」→「qmro=」 (2020(R01)/03/24)
    「更新」しても変わらない場合は、ブラウザの履歴を削除してください。
  •  問題文の仕様が誤植していたので訂正。
     【訂正前】
    機械効率、断熱効率@訂正前
     【訂正後】
    機械効率、断熱効率@訂正後
    「更新」しても変わらない場合は、ブラウザの履歴を削除してください。 (2020(R02)/08/06)
  • (4)のΦkを求める式で「h3」→「h5」に修正。(数式を画像からテキストに変更) (2021(R03)/03/14)
  • (4)のΦkを求める式で、下記のマーキング箇所(212)が誤植のため訂正。(2023(R05)/05/12)
        = (0.402 + 212) × (469 - 257)
      ↓
        = (0.402 + 0.149) × (469 - 257)