実際の冷凍装置の容量制御 P51~P54(P51~P54)

 冷凍装置の容量制御の問題を集めてあります。 「上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会」<9次(8次):P51右~P54>を一度熟読してください。

8次改訂版について
 7次を比べるとページのレイアウトが大幅に変更されている。「圧縮機の容量制御」ページを統合し1ページに組み直すことにする。(2016(H28)/11/21記ス)

テキスト9次改訂版について

 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応しています。適当に、8次改訂版のページを( )内に残してあります。

・熱負荷変動の大きな冷凍装置では、圧縮機の容量制御を行わないと、蒸発圧力や凝縮圧力を所定の条件に保つことができないので、装置の経済的運転ができなくなる。 H20学/03
 答え

【◯】 容量制御の目的です。テキスト<9次(8次):P51右>の「4.4 実際の冷凍装置の容量制御」冒頭部分の文章ズバリです。

・熱負荷変動の大きな冷凍装置では、一般に、容量制御を行い、蒸発圧力や凝縮圧力を所定の条件に保つようにしている。容量制御を行うには、圧縮機の運転をオン茜オフする方法、圧縮機の運転台数を変える方法、圧縮機の回転速度を変える方法などがある。 R05学/03 答え

【◯】 ぅむ。テキストには<9次:P52~ (1)~(7)> 7つの方法が記されている。

(1) 圧縮機の容量制御

 テキスト<9次:P52左 (a),(b)>

(a) 多気筒圧縮機の容量制御

 テキスト<9次:P52左 (a)>

・多気筒圧縮機の容量制御機構は、蒸発器の負荷減少時に、吸込み圧力の低下、冷凍トン当たりの消費電力の増加、成績係数の低下などの防止に有効である。 H18学/03
 答え

【◯】 テキスト<9次:51右 (a)>を上手にまとめた問題文です。

・多気筒圧縮機には、一般に容量制御装置(アンローダ)が取り付けてあり、吐出し弁を開放して、作動気筒数を減らし、容量を段階的に変えている。 by echo 答え

【×】 引っ掛けです。テキスト<9次:51右(a) 10行目~>

多気筒圧縮機には、一般に容量制御装置(アンローダ)が取り付けてあり、吸込み弁を開放して、作動気筒数を減らし、容量を段階的に変えている。

・多気筒圧縮機には、一般に容量制御装置(アンローダ)が取り付けてあり、吸込み弁を開放して、作動気筒数を減らし、容量を無段階に変えている。 by echo 答え

【×】 引っ掛けです。テキスト<9次:51右(a) 10行目~>

多気筒圧縮機には、一般に容量制御装置(アンローダ)が取り付けてあり、吸込み弁を開放して、作動気筒数を減らし、容量を段階的に変えている。

 「無段階」はスクリュー圧縮機の容量制御です。

・多気筒圧縮機のアンローダは、圧縮機の始動時に冷凍機油の油圧が正常圧力に上昇するまではアンロード状態になるように、負荷軽減装置としても使われる。 by echo 答え

【◯】 テキスト<9次:51右 (a)>の最後。

(b) スクリュ-圧縮機の容量制御

 テキスト<9次:P52左 (b)>

スクリュー圧縮機の容量制御は、テキスト<9次:P38 (f)>のスクリュー圧縮機の特徴からの出題が多い。
 「スクリュー圧縮機」へ

・スクリュー圧縮機冷凍装置において熱負荷が大きく変動した場合、容量制御装置(アンローダ)により、圧縮機の容量を無段階に調節できる。これにより、負荷変動に対し追従性が良い。 by echo 答え

【◯】 ぅむ。 テキスト<9次:P52左 (b)>

・スクリュー圧縮機冷凍装置の容量制御装置(アンローダ)は、圧縮機始動時の負荷軽減装置としても使われるが、低負荷での長時間運転では吐出しガス温度が低くなるので注意が必要である。 by echo 答え

【×】 ぅむ! テキスト<9次:P52左 (b)>の最後。

「スクリュー圧縮機冷凍装置の容量制御装置(アンローダ)は、圧縮機始動時の負荷軽減装置としても使われるが、低負荷での長時間運転では吐出しガス温度が高くなるので注意が必要である。」

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(2) 圧縮機の運転をオン・オフする方法

 テキスト<9次:P52左下 (2)>

・圧縮機の吐出し側に接続された高圧圧力スイッチ、または冷却室内のサーモスタットによって圧縮機を発停させる最も簡単な容量制御方法は、小型冷凍装置に広く用いられている。 by echo 答え

【×】 引っ掛けです。テキスト<9次:P52左下 (2)>冒頭。

圧縮機の吸込み側に接続された低圧圧力スイッチ、または冷却室内のサーモスタットによって圧縮機を発停させる最も簡単な容量制御方法は、小型冷凍装置に広く用いられている。

・圧縮機の吸込み側に接続された低圧圧力スイッチによって圧縮機を発停させる容量制御方法は、負荷変動が大きくても、圧縮機が短時間で発停を繰り返して負荷に追従するため装置に問題は生じない。 H23学/03 答え

【×】 そんあこたぁない。と、何となく分かる問題。短時間で繰り返すということは、何事においても良くないでしょう。テキスト<9次:P52左(2)、P55右 ニ.>

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(3) 圧縮機の運転台数を変える方法

 テキスト<9次:P53右 (3)>

・2台以上の圧縮機をもった冷凍装置では、吸込み圧力の上昇、下降にともなって圧縮機を順次発停させて容量を調整する。 H13学/03
 答え

【◯】 各圧縮機の低圧圧力スイッチの設定を少しずつ変えておく。テキスト<9次:P53右 (3)>

・複数台の圧縮機をもった冷凍装置で、低圧圧力スイッチによって容量制御を行う場合には、圧縮機を順次発停させて段階的に行う。 H14学/03 答え

【◯】 OK!

・2台以上の圧縮機をもった冷凍装置の容量制御では、吸込み圧力の上昇・下降にともなって、圧縮機を順次発停させて段階的に行うが、圧縮機の潤滑油量が特定の圧縮機に近寄らないように均油と均圧のための配管に注意しなければならない。 H18学/03 答え

【◯】 ぅむ、テキストを一度、読めばなんとなく分かる!?。

・作動圧力に差をもたせた低圧圧力スイッチを用いて、吸込み圧力の上昇、下降にともなって、複数台の圧縮機を順次発停させる容量制御方法では、複数台の圧縮機を同時には始動させない。 H23学/03 答え

【◯】 順次発停だからねぇ。なんとなくマルにする問題。

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(4) 圧縮機の回転速度を変える方法

 テキスト<9次:P53左 (4)>

・インバータによって圧縮機の回転速度を調整し容量制御を行う場合は、回転速度を大きく変化させても容量との比例関係は変わらない。 H14学/03 答え

【×】 ある範囲内では回転数と容量は正比例するが、その範囲内をはずれ大きく変えると、低回転でも高回転でも体積効率が低下し、冷凍能力も回転速度に正比例しなくなる。<9次:P53左 (4)>

・インバータを用い負荷に合わせて圧縮機の回転速度を調節する容量制御方法では、低速回転から高速回転まで回転速度を大きく変えても体積効率が変わらないため、冷凍能力は回転速度に比例する。 H23学/03 答え

【×】 低速回転と高速回転では効率が悪くなる。ま、人生においても遅過ぎたり早過ぎたりすると疲れるもの。<9次:P53左 (4)> を読んで。

正しい文章は、
  インバータを用い負荷に合わせて圧縮機の回転速度を調節する容量制御方法では、低速回転から高速回転まで回転速度を大きく変えると体積効率が低下し、冷凍能力は回転速度に比例しなくなる

・インバータを用い負荷に合わせて圧縮機の回転速度を調節する容量制御方法では、低速回転から高速回転まで回転速度の範囲を大きく変えると、体積効率は変化するが、冷凍能力は回転速度につねに比例する。 H29学/03 答え

【×】 はぃ、正しい文章にしてみましょう。

  インバータを用い負荷に合わせて圧縮機の回転速度を調節する容量制御方法では、低速回転から高速回転まで回転速度の範囲を大きく変えると、体積効率は変化するが(低下し)、冷凍能力は回転速度比例しなくなる

・インバータを用いて、電源周波数を変えて圧縮機の回転速度を調節する容量制御方法では、低速回転から高速回転まで回転速度の範囲を大きく変えると、体積効率が低下し、圧縮機の回転速度と容量は比例して増減しないようになる。 R04学/03 答え

【◯】 ぅむ。 テキスト<9次:P53左 (4)>を、綺麗にまとめた良問題。

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(5) 蒸発圧力調整弁で吸込み蒸気を絞る方法

 テキスト<9次:P53左 (5)> ポイントは、  蒸発圧力 と  圧縮機吸込み圧力 を意識してテキストや問題文を読むことです。

蒸発圧力調整弁(EPR)取り付け概略図

・圧縮機の吸込み管に蒸発圧力調整弁(EPR)を取り付けて容量制御する方法は、負荷が減少しても、蒸発圧力が所定の圧力以下に低下しないように吸込み蒸気を絞るため、蒸発圧力調整弁作動時には圧縮機吸込み圧力が低下する。また、蒸発圧力調整弁は、温度自動膨張弁の感温筒と均圧管取付け位置よりも下流側の圧縮機吸込み管に取り付けなければならない。 H23学/03


・圧縮機の吸込み管に蒸発圧力調整弁を取り付けて容量制御する方法では、負荷が減少しても、蒸発圧力が所定の圧力以下に低下しないように吸込み蒸気を絞るため、蒸発圧力調整弁作動時には圧縮機吸込み圧力が低下する。また、蒸発圧力調整弁は、温度自動膨張弁の感温筒と均圧管の取付け位置よりも下流側の圧縮機吸込み管に取り付けなければならない。 R01学/03 答え

【両方 ◯】 長い!嫌になるほど長い!けど、誤りはないんだ。
テキスト<9次:P53 (5)>、あと<9次:P137右>の「蒸発圧力調整弁」を読めばなお良い。

【参考】 テキストの取り付け位置表記の違い
<9次:P53左 (5)の下3行>
「蒸発圧力調整弁は,温度自動膨張弁の感温筒と均圧管取付け位置よりも下流側の圧縮機吸込み蒸気配管に取り付けなければならない.」
<9次:P138左 9行目~>
「蒸発圧力調整弁を温度自動膨張弁と組み合わせて用いる場合には,膨張弁の感温筒は,蒸発圧力調整弁の上流(図10.21参照)に取り付けなければならない.」

両方同じことです。こんがらからないように、頑張れー。

・圧縮機の吸込み蒸気配管に蒸発圧力調整弁(EPR) を取り付けて容量制御する方法では、負荷が減少しても、蒸発圧力が所定の圧力以下に低下しないように吸込み蒸気を絞るため、圧縮機吸込み圧力が低下する。 H30学/03 答え

【◯】 その通りとしか言いようが無い。テキスト<9次:P53左 (5)>にズバリ的です。

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(6) 吸入圧力調整弁で吸込み蒸気を絞る方法

 テキスト<9次:P53右 (6)>

 作図が誤っていたため[×]を付け、【正】の画を追加しました。構造概略図も追加。(2022(R04)/03/21)

【誤】吸入圧力調整弁取り付け概略図 【正】吸入圧力調整弁取り付け概略図 吸入圧力調整弁構造図

・圧縮機の容量制御方法として、蒸発圧力調整弁または吸入圧力調整弁を圧縮機の吸込み配管に取り付ける方法がある。 H27/ga03 答え

【◯】 この問題はここに置きますね。  蒸発圧力調整弁 だけではなく  吸入圧力調整弁 でも容量制御の方法があるのです。
 テキスト<9次:P53 (5)と(6)>を、読んで、過去問すれば、たぶん大丈夫。

・吸入圧力調整弁で圧縮機吸込み蒸気を絞る容量制御方法は、圧縮機始動時や除霜時の電動機の過負荷を防止できるが、成績係数は低下する。 H13学/03 答え

【◯】 吸入圧力調整弁は、圧縮機の吸込み圧力が一定の値以上にならないように、吸込み蒸気を絞り冷凍能力を減少させ容量制御する。圧縮機の能力を制御するわけではないので、 成績係数は低下する。(蒸発圧力調整弁と吸入圧力調整弁の違いに注意するべし)テキスト<9次:P53右 (6)>

・密閉圧縮機に用いた吸入圧力調整弁の容量制御方法は、圧縮機吸込み蒸気を大きく絞ると、吸込み圧力が低下し、圧縮機を流れる冷媒が減少して電動機の冷却不足による過熱の危険性がある。 by echo 答え

【◯】 ぅむ。テキスト<9次:P53右 (6)>の最後。

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(7) ホットガスバイパスによる方法

 テキスト<9次:P53右(7)~P54>

 平成26年度の問3で初めて(たぶん)出題された。(2015(H27)/07/16記ス)この辺りは1種冷凍の領域だと思うんだが…。 傾向が変化しているのかな。

・ホットガスバイパス容量制御において、ホットガスバイパス弁と液噴射弁を取り付け配管内でホットガスと液を混合する方法では、液噴射弁の感温筒の取付け位置は混合距離が取れる距離を確保する必要がある。 H26学/03 答え

【◯】 テキスト<9次:P53 図4.8(d)>を、見てくれたまえ。
 この図4.8(d)の説明は、<9次:P54左 (d)>である。が…、
 液噴射弁感温筒の取り付け位置に関しては、どこに書いてあるか不明です。
 なんというか、図から読み取るしかないのかな…。図から読み取るしか、図から読み取るしか、図から読み取るしか、図から読み取るしか…、【怒りの続き】

しかし、色々考えるに…
 「混合距離が取れる距離」とは、どういう意味?
 「液とガスが適切に混合される距離」と、いう意味なのかな?
 テキストにない文章を組み込むのは反則ではないのでしょうか?
 ま、「そんなルールはない」と言われれば、その通り!だけども。
 そういうわけで!
 平成26年度2種冷凍「学識」◯◯◯問題に決定!!

・冷凍装置の容量制御の 1 つであるホットガスバイパスによる方法を用いると、圧縮機の吐出しガスをホットガスとして蒸発器側に送り、圧縮機吸い込み圧力の低下を防ぐことができる。各種のホットガスバイパスによる方法の中で、ホットガスを温度自動膨張弁と蒸発器入口の間にバイパスする方法は、適正な過熱度を維持でき、連続の長時間運転が可能である。 R05学/03 答え

【◯】 テキスト<9次:P53右下3行、P54左(c)、右(解)-ロ.>の3箇所をまとめた問題です。( 1 冷レベルにも思えるような問です。)

 12/04/13 13/11/16 14/08/22 16/11/22 17/12/29 19/12/7 23/08/25 23/12/07

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修正・訂正箇所履歴

【2016/06/26 新設】(← 履歴をここに作った日

  • 「冷凍装置の容量制御」と「圧縮機の容量制御」の2頁を1頁に組み直し、解説も見直し、8次改訂に対応済み。(2016(H28)/11/23)
  • 「学識」問7(熱交換器・運転状態)の問題は、「熱交換器」ページへお引っ越し。(2017/03/12)
  • H23学/01 H23学/03 に、修正。(2017(H29)/03/21)
  •   下降のともなって →  下降にともなって  (2019(R1)/09/13)
  •   インバーター  インバータ (2019(R1)/09/13)
  • 画像追加、解説文見直し。(2019(R1)/09/13)
  • 吸入圧力弁の作図が誤っていたため[×]を付け、【正】の画を追加。(2022(R04)/03/21)
  • 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応。(2023(R05)/08/25)
  • <

【参考文献・リンク】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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