冷媒の充填・試運転・凍上 P197~P199(P191~P192)

 いよいよ、試運転となりました。

    『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』
  • <9次:P197~P198(8次:P191左) (14.2.2 冷媒の充てん)
  • <9次:P198(8次:P191右) (14.2.3 試運転)
  • <9次:P198~P199(8次:P191右) (14.3 凍上の防止)

 補足) 法改正(詳細略)があったため、9次改訂版(令和4年秋改定予定@たぶん)では「充てん」から「充填」に変更されるでしょう。(『初級 冷凍受験テキスト』8次では変更済み)問題文意外は極力「充填」に変更してます。 (2022(R04)/03/29記ス)

テキスト9次改訂版について

 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応しています。適当に、8次改訂版のページを( )内に残してあります。

 「充てん」から「充填」に変更されました。

【 - 補足 - 】「充てん」から「充填」に変わった理由

 メールをいただきました。以下メールより一部引用。(2023(R05)/10/11記ス)
 「常用漢字が平成22年に改訂されました。その際に「塡」が追加されました。ただ、字体として「填」も認められています。常用漢字は法令等で使用するべき漢字として定められていることから、「充てん」を「充塡」とすべく法令改正時に併せて文字の更新を行います。そのため、高圧ガス保安法も法令改正時に文字の更新を実施したものと思われます。」

試運転前の冷媒の充填

 前ページは試運転前の油の充填でした。今度は、冷媒の充填です。


冷媒充填全般

 テキスト<9次:P197右~P198>

・冷凍装置に充填する冷媒は、新しいものまたはそれと同等のものを使用する。古い油や銘柄の異なる油または水分の混入した冷媒の充填は避けなければならない。 by echo 答え

【◯】 素直に【◯】ですね。テキスト<9次:P197右「14.2.2 冷媒の充填」>の冒頭。

・冷媒充填の際には、フルオロカーボンの場合は少量であれば大気中に放出してもよい。 by echo 答え

【×】 少量でもだめと思います。(テキストには「少量は」書かれていない…。)テキスト<9次:P198左 真ん中辺り> 引用しておきます。

冷媒充てんの際には,フルオロカーボンを大気中に放出しないように注意する.


過充填

 テキスト<9次:P197右下3行~P198左>

・冷媒が過充てんされると凝縮圧力は上昇し、凝縮液の過冷却度は大きくなる。 H15保/10 答え

【◯】 冷媒が過充てんされると凝縮器の冷却管を冷媒液が浸かしてしまう、凝縮に必要な伝熱面積が減少し凝縮圧力が上昇する。冷媒液は、冷却管によりよけいに冷却されることによって過冷却状態になる。 テキスト的には<9次:P198左 真ん中(一方,~)と、P210右 「(3) 伝熱面積と凝縮温度」>

 【補足】 ← あまり得にもならない補足です。時間があればどうぞ。

 主な過充填は、ココと次の章の「高圧保守管理」で登場するが、ココでは「凝縮圧力高、電力増大」が記されている。保守管理では「過冷却度増大」も記されている。なので、この問題は「保守管理」ページへ載せるべきかと思うが、出題は問10(保守管理は問2)なのでココにした。ま、そんなに得にもならない話でした。

・冷凍装置の試運転において、冷媒を過充てんすると、凝縮圧力が高くなる。
 H18保/10 答え

【◯】 冷媒液に冷却管が浸かって、凝縮器の伝熱面積が減少してしまい、圧力と温度が上昇する。<9次:P198左 真ん中(一方,~)>

・冷媒が過充填されると、凝縮器の多数の冷却管が冷媒液で浸され、凝縮に有効に使われる伝熱面積が減少して凝縮圧力が上昇し、圧縮機の消費電力が増大する。 by echo 答え

【◯】 そうです、電力が増大してしまいます。テキスト<9次:P198左 真ん中(一方,~)>


充填不足

 テキスト<9次:P198左 3行目~>

・冷凍装置の試運転において、冷媒充てん量が不足していると、蒸発圧力が低下して圧縮機吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。 H18保/10 答え

【◯】 蒸気が少ないんだから、圧力は低下する。過熱度は大きくなる(ph線図を見るといい)。この問題文を記憶するとイイy。テキスト<9次:P198左 3行目~>

・冷凍装置の冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が小さくなり、吐出し圧力も低下するが、吐出しガス温度は上昇し、潤滑油が劣化するおそれがある。 H19保/10 答え

【×】 さっそく、H18年で記憶したことが役に立ったね。テキスト<9次:P198左 3行目~>ズバリ的。

冷凍装置の冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなり、吐出し圧力も低下するが、吐出しガス温度は上昇し、潤滑油が劣化するおそれがある。

・冷媒の充てん量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過度熱が小さくなる。 H17保/10 答え

【×】 冷媒循環量減少 → 蒸発圧力低下 → 過熱度大 テキスト<9次:P198左 3行目~>

・冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなり、吐出し圧力が低下するが、吐出しガス温度は上昇するので、油が劣化するおそれがある。また、密閉フルオロカーボン圧縮機では、冷媒による電動機巻線の冷却が不十分になる。 H25保/10 答え

【◯】 そうだ、その通り!そのとおりなんだ。テキスト<9次:P198左 3行目~>

・冷凍装置の冷媒の充てん量が不足していると、蒸発圧力が低下し圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなるが、吐出し圧力も低下して吐出しガス温度は下がる。 H26保/10
 答え

【×】 テキスト<9次:P198左 3行目~> 正しい文章に変更してみましょう。

冷凍装置の冷媒の充てん量が不足していると、蒸発圧力が低下し圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなり、吐出し圧力低下するが、吐出しガス温度は上昇する

・冷凍装置への冷媒充てん量不足は、冷凍能力の低下、吐出し圧力の低下および吐出しガス温度の低下の原因となる。一方、過充てんは、吐出し圧力の上昇および凝縮液の過冷却度の増加の原因となる。 H27保/10 答え

【×】 吐出しガス温度は上昇だね。テキスト<9次:P198左 3行目~>正しい文章に変更してみましょう。

冷凍装置への冷媒充てん量不足は、冷凍能力の低下、吐出し圧力の低下および吐出しガス温度の上昇の原因となる。一方、過充てんは、吐出し圧力の上昇および凝縮液の過冷却度の増加の原因となる。

・冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が小さくなる。さらに、吐出し圧力が低下し、吐出しガス温度が上昇するので、冷凍機油が劣化するおそれがある。 H29保/10 答え

【×】 正しい文章にしてみましょう。

冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。さらに、吐出し圧力が低下し、吐出しガス温度が上昇するので、冷凍機油が劣化するおそれがある。

・冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。さらに、吐出し圧力が低下し、吐出しガス温度が上昇するので、冷凍機油が劣化するおそれがある。 R01保/10 答え

【◯】 今度は【◯】です。 H29保/10の正しくした文章がそのまま問題になっています。 :)

・冷凍装置の冷媒の充てん量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなり、吐出し圧力が低下するが、吐出しガス温度は上昇するので、油が劣化するおそれがある。 R03保/10 答え

【◯】 今度も【◯】。良い文章ですね。 :D

・冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。さらに、吐出し圧力と吐出しガス温度が上昇するので、冷凍機油が劣化するおそれがある。 R05保/10 答え

【×】 ここまで来たあなたは大丈夫ですね。正しい文章は、

「冷媒量が不足すると、蒸発圧力が低下し、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。さらに、吐出し圧力が低下するが、吐出しガス温度上昇するので、冷凍機油が劣化するおそれがある。」


試運転

 1つしか見当たらない…

・試運転開始前には、電気系統・自動制御系統の点検、冷媒系統・冷却水系統の配管経路の接続や弁の開閉状態、冷媒・潤滑油の種類と量などを十分に確認する必要がある。
 H19保/10 答え

【◯】 サービス問題かな。<9次:P198 (14.2.3 試運転)>を読んでおこう。


凍上の防止

・低温のために、冷蔵室床下の土壌が氷結して床面が盛り上がってくることがある。この凍上を避けるために、特に床面積が広い低温冷蔵庫では、最初から凍上防止計画を実施する。 H22保/10 答え

【◯】 ぅむ。テキスト<9次:P198 (14.3 凍上の防止)

・冷凍装置運転中、冷蔵室床下の土壌が氷結して床面が盛り上がる、凍上という現象を引き起こすことがある。その原因は、床下の土壌の性質あるいは床下の構造が大きく関係することもあるが、地質調査をしても凍上が起こるかどうか事前に適切な判断ができないため凍上防止対策が必要である。 R02保/10 答え

【◯】 長文だけども正解のような気がする良い問題文ですね。凍上は10年ぶりの凍上w。(令和2年度は10年ぶりに近い問題が多い。)

 05/05/21 07/12/08 08/02/08 09/03/10 10/10/10 11/07/28 12/05/19 13/09/16 14/09/20 15/07/04 16/09/16 20/11/23 23/12/13


福島第一原発凍土壁計画

2013(H25)/09/16記ス
 福島第一原発の、地下水流入阻止するための土壌の凍結壁計画は成功するでしょうか。約1500本ものパイプを打ち込み冷却材を循環させて凍らせる。氷壁を作ることができれば、金属板等を埋めるよりも、後々の保守は楽のようですが…果たして。
 「凍上」とか、大丈夫でしょうか。どんな冷凍設備、冷媒を使うんでしょうね。圧力試験、据付け、試運転、点検・保守など、気が遠くなります。冷凍機械責任者の資格が、役立つかもしれません…。
 さて、どうなるのでしょうね。
 「汚染水への取り組み~凍土方式陸側遮水壁~」 ← 東電の説明動画。

2022(R04)/03/29記ス
 久々にHPを覗き、「凍土」で検索すると 「2016/10/07(金) 凍土方式陸側遮水壁の進捗状況」があった。
 4分ほどの映像でしか見られない。それによると、2016年3月31日から凍結を始めて、この年の9月で山側海側に凍土壁が出来上がったそうです。(凄い技術力です。)あとは、すきま対策などの技術的な紹介がある。
 その後、どうなっているかよくわかりませんでした。いずれにしろ、この先50年100年と、ひ孫の代まで凍土は作られていくのでしょう(か?)。その間、冷凍設備だけでも膨大な保守管理維持費用がかかることでしょう。(遠い目)

2023(R05)/10/11記ス
 HPを覗き、「遮水壁」で検索すると 「2016/12/12(月) 陸側遮水壁の現状について ~みなさまからのご心配の声にお答えします」があった。
 5分ほどの映像でしか見られない。それによると、地中30mまで0℃以下の凍土が出来上がったようです。(凄い技術です。)
 その後、どうなっているかよくわかりませんでした。近年は処理水関連が多数掲載されていました。今後いったいどれほどの時間がかかるのでしょうか…。

修正・訂正箇所履歴

【2016/08/07 新設】(← 履歴をここに作った日

  • 「凍土壁計画」を追加。(2016/08/07)
  • 「凍土壁計画」文章見直し。(2021(R03)/08/06)
  • 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応。(2023(R05)/10/11)
  • 解説等、見直し。(2023(R05)/10/11)

【参考文献・リンク】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

Back to top ↑

^