2種冷凍学識計算攻略-(COP)

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成績係数(COP)を求める問題を攻略する。

 これから、成績係数COPを求める過去問題を解いてみましょう。全頁まで、冷凍能力Φや圧縮機軸動力Pをいろんな方法で求めてきました。ここまでできれば成績係数を求めるのは簡単です。

最初に、成績係数COPの復習

 理論成績係数(COP)th・Rと、実際の成績係数(COP)Rの式を、覚えましたか?

理論成績係数公式(5)
実際の成績係数公式(6)

さぁ、平成11年度 問1から攻略してみましょう。

あたえられた項目(数値)から、(COP)の公式に必要な、(Φo)と(P)を導き出すことができるか試されます。

2種冷凍平成11年度学識問1

 ではいつものように指定されたものを抜き出してみましょう。

  • 所要軸動力 P=24 [kW]
  • ピストン押しのけ量 V=0.036 [m^3/s]
  • 体積効率 ηv=0.65
  • 比体積 v1=0.07 [m^3/kg]
  • 比エンタルピー h4=255.5 [kJ/kg]
  • 比エンタルピー h1=410.0 [kJ/kg]

 所要軸動力Pと指定されているので機械効率ηmや断熱効率ηcはすでに考慮された数値(24kW)と考えればいいでしょう。ですので、実際の成績係数(COP)Rの(5)式の(ηm×ηc)を除いて計算すれば良さそうです。

 で、(所要軸)動力Pは指定されているので、冷凍能力Φoを求めればCOPが計算できます。

 冷凍能力Φoを求めるには、(2)式!

公式(2)式


 の、冷媒循環量qmrを求めましょう。


 冷媒循環量qmrを求めるには、(1)式!(式がわからない方は、貴方の手元にあるはずのメモを見てください)から、一気に計算しちゃいますよ。

 ここにv=v1

公式(1)式数値代入

 冷凍能力Φoは、

公式(2)式数値代入

 成績係数(COP)Rは

公式(6)式数値代入

 というわけで、2.16に一番近い答えは(2)2.2になります。

 前ページまでをクリアしていれば、意外と簡単でしょう!?さぁ、どんどん解いてみましょう。

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平成15年度問1 前問と同じだね!サクッと解いてみよう。

 平成11年から4年後に同じ考え方の問題が出題されました。

2種冷凍平成15年度学識問1

では、指定されたものを抜き出してみましょう。

  • 圧縮機の軸動力 P=20 [kW]
  • ピストン押しのけ量 V=0.05 [m^3/s]
  • 体積効率 ηv=0.65
  • 比体積 v1=0.12 [m^3/kg]
  • 比エンタルピー h4=236 [kJ/kg]
  • 比エンタルピー h1=400 [kJ/kg]

  (COP) Rは(6)式を使い((ηc・ηm)が含まれているとします)、qmrを求めるには(1)式を使いますよ。

 さぁ、一気に行ってみましょう。

公式(1)(6)式数値代入

 答えは、(4)2.2になりました。

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平成17年度問2 過去問こなしている人は大丈夫!

 この線図は、軸動力ページの平成11年の線図(平成16の問2も)とクリソツです。

2種冷凍平成17年度学識問2

 これはある意味、サービス問題とも言えるでしょう。ドンドン行きますよ。

 まずはこの公式

公式(6)式

 そうです、Φoを求めることができませんからね。でも、(6)式を覚えていれば(導き出せれば)簡単です!

 サッサと、いや、こういうときこそ慎重に、足し算かけ算をしよう。単純計算ミスで間違うと、悔しいッス。

公式(6)式数値代入

 答えは、(1)1.52 に、なりました。

 ちなみに、(ηc・ηm)を忘れると、約2.55になって(3)2.55と云う答えがちゃんと用意してあります(汗。 2.55は、理論成績係数の数値ですね。何を求めているのか問題をよく読んで 引っ掛からないようにしてください。貴方は、大丈夫ですよね。

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平成18年度問2 線図がないけど余裕で?大丈夫。

 線図のない問題です、過去問ガンガンこなしている貴方なら、楽勝です!

2種冷凍平成18年度学識問2

 さぁ、落ち着いて線図を書いてみます。(頭の中でイメージできる方は、書かなくてもいいです)

2種冷凍平成18年度学識問2の線図

 余裕ですね! では、冷媒循環量qmrを求めてみます。

   ここにv=v1

冷媒循環量公式数値代入

と、なりましたが・・・・・。ここで、冷静な方(過去問こなしている方)は気がついているはずです。
 な?に? と、云う方は、問題文や解答欄をよ~く見てください。

 さて、解答欄を見てみますと

 (1)qmr = 761kg/s、COP = 1.46 (4)qmr = 761kg/h、COP = 2.03 ・・・・・なんか変でしょ。

 そうです、単位、単位単位なのです!

 平成18年度の問題で、このように「m^3/h」で出題されるのは珍しいと思います。まさに、引っ掛けで問題を考えた人は 意地の悪い人間だと思います。たぶん、賢明なる受験者は途中で気が付くと思いますが・・・・、頭が少々パニクルかも知れません。(追記:平成19年度の問2、平成21年度の問2でも、m3^hが使われています。注意、注意。)

  つまり、時間がかかってしまうということになりかねないのです。(軸動力攻略ページ 平成13年度 問2に類似問題あり)単位までよく見て問題を読みましょう。

 さて、時間を秒に変換するため3600で除して一気に計算しますよ。

   ここに v = v1

冷媒循環量公式数値代入(3600で除)

 実際の成績係数ですから、(6)式ですね

公式(6)式数値代入

さらに、ここで気をつけてくださいね。解答欄の中から0.211と1.46を含むものを選んでみます。
  (2)qmr=0.211kg/s、COP=1.46
  (5)qmr=0.211kg/h、COP=1.46
 の2つのうちどちらかが正解です。

 OK牧場!でしたか? 単位に注意して引っ掛からないでください、正解は(2)ですね。

まるで、受験者をもて遊んでいるかのような問題です。こういう単位に注意することは、大事かと思いますが…。 ま、echoとしてはチョットね問題だと思います。ぃえ、失言ですね。どうもすいません。

  • ピストン押しのけ量は体積流量で、単位は[m^3/h][m^3/s]です。
  • 冷媒循環量は質量流量で、単位は[kg/h][kg/s]です。

//コメント//
 ピストン押しのけ量は、「SIによる上級冷凍受験テキスト(日本冷凍空調学会 )」5頁の一覧表によると、従来の単位ではm^3/hで、SI単位ではm^3/sとなっています。

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ここで少しまとめ、さらに進む。

 このように、成績係数COPを求めるには冷媒循環量qmr、冷凍能力Φo又、動力Pを求めることができないと解けません。さらには、比エンタルピーだけでも 導き出せる問題も出題されています。

 2種冷凍の場合、とりあえず公式を丸覚えしておけば何とかなります。ただし、引っ掛けに注意してください、過去問題をガンガンこなし、問題をよく読む、ですよ。

 上の問題のうち2問は、機械効率ηmや断熱効率ηcが表記されておらず「所要軸動力」とか「圧縮機の軸動力」と指定されています。 (ηmとηcが考慮されている動力)なので、わりと楽に答えが導き出されました。

ところが、次のページで詳しく述べますが

  • 「機械的摩擦損失仕事が熱となって冷媒に加えられる
  • 「機械的摩擦損失仕事が熱となって冷媒に加えられない

 という二つの問題が出てきます。

 このあたりは1種ではあたりまえのように出てきますが、それでも「うっかり」引っ掛かってしまうことが多いようです。 2種での初めての学識計算では少々戸惑うかも知れません。

 次はこの攻略です。nextページに進んでみましょう。

訂正箇所履歴

【2017/10/12 新設】

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