1種冷凍学識計算11月試験攻略-問1:令和4年度

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R404A 二段圧縮一段膨張冷凍装置

 二段圧縮一段膨張の冷凍装置で特にひねったところもなく解きやすい問題です。

第一種冷凍機械責任者試験 令和4年度(11月試験)

問1  R404Aを冷媒とする二段圧縮一段膨張の冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの運転条件で運転する。このとき、次の(1)から(3)の問に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は、吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
(20点)

(理論冷凍サイクルの運転条件)
 低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー         h1 = 360 kJ/kg
 低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー  h2 = 380 kJ/kg
 高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー         h3 = 365 kJ/kg
 高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー  h4 = 390 kJ/kg
 中間冷却器用膨張弁直前の液の比エンタルピー      h5 = 255 kJ/kg
 蒸発器用膨張弁直前の液の比エンタルピー        h7 = 200 kJ/kg
 低段圧縮機吸込み蒸気の比体積             ν1 = 0.1 m3/kg

(実際の冷凍装置の運転条件)
 低段圧縮機のピストン押しのけ量            qvro = 500 m3/h
 圧縮機の体積効率(低段側、高段側とも)         ηv = 0.7
 圧縮機の断熱効率(低段側、高段側とも)         ηc = 0.8
 圧縮機の機械効率(低段側、高段側とも)         ηm = 0.9

(1) 中間冷却器へのバイパス冷媒循環量 q'mro(kg/s)を求めよ(バイパス冷媒循環量は小数点以下第3位までとする)。

(2) 実際の圧縮機駆動の総軸動力P(kW)を求めよ(総軸動力は小数点以下第1位までとする)。

(3) 実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ(成績係数は小数点以下第2位までとする)。


なにはともあれ、概略図と線図を描きましょう。

 p-h線図と、装置の概略図を書きましょう。本番では、書かなくても頭の中にイメージして計算式が組み立てられれば最高ですね。

  • ν1 = 0.17 m3/kg
  • qvro = 500 m3/h
  • ηv = 0.7 (L,H共)
  • ηc = 0.8 (L,H共)
  • ηm = 0.9 (L,H共)

 サクっと描き上げられるように何度も練習しましょう。


(1) 中間冷却器へのバイパス冷媒循環量 q'mro(kg/s)を求めよ(バイパス冷媒循環量は小数点以下第3位までとする)。

 なにわともあれ、熱収支です。

中間冷却器概略図1 h'2,h'4 部分のp-h線図

 ここで、注意) h2は、h´2とすること。

 左辺に入るもの、右辺に出るものでまとめます。

 mroh6 + qmroh5 + qmro2 = qmrkh3 + qmroh7


 さて、熱収支式のqmrkを削除して、 q´mroとqmroでまとめることを考えます。

 qmrk = qmro + q´mro

 (『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次:P28左(2.26)式を参照のこと>)

 mroh6 + qmroh5 + qmro2 = (qmro + q´mro) h3 + qmroh7

 qmroとq´mroだけの式ができあがりました。


 h3の部分を展開して

  q´mroh6 + qmroh5 + qmro2 = qmroh3 + q´mroh3 + qmroh7

 qmroを左に、 q´mroを右に、整理整頓。

  qmroh5 - qmroh7 + qmro2- qmroh3 = q´mroh3 - q´mroh6

二段一段膨張p-h線図 ここで、まとめます。p-h線図をよ~く見てください。
 左辺は2とh3、h5とh7がペアになります。

  qmro{(h5 - h7)+(h´2- h3)}= q´mro(h3 - h6

 この熱収支の式が、できるかできないかで合格の合否の分かれ道となるでしょう。

 途中経過の式を長々と記述する必要はありません。下記のようにいきなり記述しましょう。そうしないと、解答スペースが無くなってしまいます。


 中間冷却器の熱収支は次式で表される。

  qmro{(h5 - h7) + (h'2 - h3)}= q´mro(h3 - h6



 ここで、qmro を求めます。(式は、2冷レベルなので説明は省略。)

  qmro = Vηv / v1

    = {(500/3600) × 0.7} / 0.1

    = 0.0972221 / 0.1

    = 0.972221

    ≒ 0.972 kg/s

 注)V は、3600で除して秒に単位変換すること。


 h'2 を求めましょ。

  h'2を求める

 では、熱収支の式に数値代入。ここで、h6 = h5

  q´<sub>mro</sub>を求める式に数値代入


  答え q'mro = 0.689 (kg/s)


(2) 実際の圧縮機駆動の総軸動力P(kW)を求めよ(総軸動力は小数点以下第1位までとする)。

基本式

  qmrk = qmro + q'mro

  P = PL + PH
   = qmro(h2 - h1) / ηcηm + qmrk(h4 - h3) / ηcηm


では、数値代入して一気に。

  qmrk = qmro + q'mro
    = 0.972 + 0.689 = 1.661 (kg/s)

  P = qmro(h2 - h1) / ηcηm + qmrk(h4 - h3) / ηcηm
    = 0.972(380 - 360) / 0.8 × 0.9 + 1.661(390 - 365) / 0.8 × 0.9
    = 19.44 / 0.72 + 41.525 / 0.72
    = 27 + 57.673611 = 84.673611
    ≒ 84.7


  答え  P = 84.7 (kW)


(3) 実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ(成績係数は小数点以下第2位までとする)。

基本式

  (COP)R = Φo / P

  Φo = qmro(h1 - h8) ここに、h8 = h7


では、数値代入して一気に。

  Φo = qmro(h1 - h8)
    ここに、h8 = h7
    = 0.972(360 - 200)
    = 155.52

  (COP)R = Φo / P
    = 155.52 / 84.7 = 1.8361275
    ≒ 1.84


  答え (COP)R = 1.84


 この問題の要点は、

  • 中間冷却器の熱収支(ヒートバランス)を把握できているか。この一点でしょう。あとは、2冷レベル。

 ご健闘をお祈りします。

訂正箇所履歴

【2023(R05)/01/10 新設】

  • (1)で、qmro を求める式が抜けていたので追加。(2023(R05)/02/07)