1種冷凍学識計算11月試験攻略-問3:令和4年度

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冷蔵庫用フィンコイル乾式蒸発器

 素直な問題。特に問題ない。平成25年度の問題と同等です。

第一種冷凍機械責任者試験 令和4年度 問3(11月試験)

問3 冷蔵庫用フィンコイル乾式蒸発器が、着霜のない状態で次の仕様および運転条件で運転されている。この蒸発器について、次の(1)から(3)の間に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ
 ただし、蒸発器出口における冷媒の状態は乾き飽和蒸気とし、冷媒と空気との間の温度差は算術平均温度差Δtmを用い、フィンコイル材の熱伝導抵抗は無視できるものとする。
(20点)

(仕様および使用条件)
 冷凍能力                     Φo = 10 kW
 空気側伝熱面積                  A = 40 m2
 冷媒蒸発温度                   to = -14 ℃
 空気側平均熱伝達率                αa = 0.04 kW/(m2・K)
 冷媒側平均熱伝達率                αr = 3.8 kW/(m2・K)
 入口空気温度                   ta1 = -4 ℃
 出口空気温度                   ta2 = -9 ℃

(1) 着霜のない状態における蒸発器の外表面基準の平均熱通過率 K[kW/(m2・K)]を求めよ。

(2) 着霜のない状態における蒸発器の有効な以外伝熱面積比 m を求めよ。

(3) 着霜した場合の蒸発器の外表面積基準の平均熱通過率 k'[kW/(m2・K)]を求めよ。ただし、霜の熱伝導率λ は 0.14 W/(m・K)、霜の厚さ δ は 2.5 mm とし、これら以外は変わらないものとする。

(1) 着霜のない状態における蒸発器の外表面基準の平均熱通過率 K[kW/(m2・K)]を求めよ。

基本式

  Φo = KAΔtm

  K = Φo / AΔtm

第一種冷凍機械責任者試験問3(令和4年度)(1) 蒸発器温度分布
蒸発器温度分布

  Δtm = Δt1 + Δt2

    = {(Δta1 - Δt0) + (Δta2 - Δt0)} / 2


 まず、Δtm を求めましょ。

  Δtm = {(Δta1 - Δt0) + (Δta2 - Δt0)} / 2

     = [{-4 - (-14)}] + [{-9 - (-14)}] / 2

     = {(-4 + 14) + (-9 + 14)} / 2

     = (10 + 5) / 2

     = 7.5 K

 では K を、

  K = Φo / AΔtm

   = 10 / 40 × 7.5 = 1 / 30

   = 0.333333 ≒ 0.03 kW/(m2・K)


  答え K = 0.03 kW/(m2・K)

(2) 着霜のない状態における蒸発器の有効な以外伝熱面積比 m を求めよ。

基本式

  R04年度問3(2)Kを求める計算式

 ここで、m を求める式に変形。(変換部分だけ1行式にします。)

  K = 1 / (1 / αa + m / αr)

  K (1 / αa + m / αr) = 1

  K / αa + mK / αr = 1

  1 / αa + m / αr = 1 / K

  m / αr = 1 / K - 1 / αa

  R04年度問3(2)mを求める計算式


 では、数値代入。ですが、K の代入値で答えが違ってしまいます。

 (1)で求めた K = 0.03 を代入すると、
 …(1)

  R04年度問3(2)mを求める計算式にK=0.03を代入

  K = 0.033333 を代入してみると、
 …(2)

  R04年度問3(2)mを求める計算式にK=0.033333を代入

 (1)の計算途中での K = 1 / 30 を代入すると、

  R04年度問3(2)mを求める計算式にK=1/30を代入 …(3)

 KHK発表の模範解答では(3)式で記述されています。数学的には(3)式が正答なのでしょう。(1)式だと次の問(3)の答えがずれてしまいます。でも、得点はもらえる(少し減点?)と思います。


  答え m = 19

(3) 着霜した場合の蒸発器の外表面積基準の平均熱通過率 k'[kW/(m2・K)]を求めよ。ただし、霜の熱伝導率λ は0.14 W/(m・K)、霜の厚さ δ は 2.5 mm とし、これら以外は変わらないものとする。

基本式

 着霜時蒸発器の外表面積基準の平均熱通過率 k' 、霜の熱伝導率 λ 、霜の厚さ δ とすると、

  R04年度問3(3)K’ を求める計算式

 では、数値代入。

  R04年度問3(3)K’ を求める計算式に数値代入

 注)

  • δ = 2.5(mm)は、0.0025(m)に単位変換すること。
  • λ = 0.14 W/(m・k)は、0.00016(kW/m・k)に単位変換すること。

 でも、単位変換せずとも答えは同じになる。
  が、
 単位変換の記述がないと減点なのかな?(不明)


  答え k' = 0.02 kW/(m2・K)


 この問題の要点は、乾式蒸発器全般の計算(概念)を把握できているかでしょう。

  • 平均熱通過率の概念
  • 算術平均温度差の概念
  • 有効内外伝熱面積比の概念

 いつもながらですが、計算はくどくどと記しています。本番では、思い切って削除しスマートな記述にしてください。

 ご健闘をお祈りします。

訂正箇所履歴

【2023(R05)/01/28 新設】