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乾き度や熱収支によるh7、冷媒循環量、そして成績係数を問われます。満遍なく知識を問われます。講習でポイントをつかんで過去問をこなせば大丈夫でしょう。
下図に、R410Aを冷媒とする管内蒸発方式の満液式蒸発器を使用した冷凍装置の略図を示す。この装置を下記の理論冷凍サイクルの条件で運転して50kWの冷凍能力を得たい。これについて、次の(1)~(4)にそれぞれ解答用紙の解答欄に計算式を示して答えよ。(20点)
(運転条件)
圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー h1 = 410 kJ/kg
理論断熱圧縮後の圧縮機吐き出しガスの比エンタルピー h2 = 470 kJ/kg
受液器出口の冷媒の比エンタルピー h3 = 248 kJ/kg
蒸発器入口冷媒の非エンタルピー h6 = 156 kJ/kg
冷凍装置概略図
(1)圧縮機の冷媒循環量qmr(kg/s)を求めよ。
(2)蒸発器出口(点7)の冷媒蒸気の乾き度x7が0.8であるとき、蒸発器の冷媒循環量qmo(kg/s)を求めよ。
(3)圧縮機の理論断熱圧縮動力Pth(kW)を求めよ。
(4)理論成績係数(COP)th.Rを求めよ。
設問で冷凍能力が50kWと指定されていますので、冷媒循環量qmrといえばこの式です。
冷凍能力をΦoとする。
Φo = qmr(h1 - h4) (← 3冷レベル)
よって、
qmr = Φo / h1 - h4
= 50 / 410 - 248
= 50 / 162
= 0.3086419
≒ 0.309
答え 0.309(kg/s)
乾き度については、当サイトでは、問3攻略ページでまとめてあります。「1種冷凍学識計算攻略-一寸:乾き度xについて」
と、言って終わるのも何なので、ここにコピペしておきましょう。
図は点cの乾き度をxcとすると、 飽和液Aが(hC - hA)の熱エネルギーを受け入れ点Cとなった。という、基本の一例p-h線図である。
ここで、点Cの乾き度xcは、
である。
ここに、h5=h6
数値代入しましょ。
さ、(1)でqmrを、ここでh7を求めましたので、qmoを求めるため「液集中器」の熱収支を組み立てましょう。
さて、図は液集中器辺りを抜き出して、冷媒循環量qmrと蒸発器の冷媒流量qmoを書き込んでみました。
じゃ、左辺に入るもの、右辺に出るもので熱収支(ヒートバランス)の式を組みましょう。
qmrh4 + qmoh7 = qmoh6 + qmrh1 です。
qmrとqmoでまとめます。(エンタルピーの大きい方から引き算するように)
qmo(h7 - h6)= qmr(h1 - h4)
よってqmoは、
ここに、h5 = h6、h3 = h4
では、数値代入しましょ。
答え 0.246(kg/s)
理論断熱圧縮動力Pthといえば、
Pth = qmr(h2 - h1) (← 3冷レベル)
では、数値代入。
Pth = 0.309 × (470 - 410)
= 18.54
答え 18.5(kW) (18.54でも正解でしょう。)
理論成績係数(COP)th.Rといえば、
(COP)th.R = Φo / Pth (← 3冷レベル)
では、数値代入。
(COP)th.R = 50 / 18.54
= 2.6968716 (18.5で計算した場合 = 2.7027027)
≒ 2.7
答え 2.7
(2)qmoを求めるため、乾き度x7よりh7を導き出し液集中器の熱収支を把握しているかが問われます。(1)(3)(4)は3冷レベルのサービス問題でした。講習をしっかり聞き取れば大丈夫でしょう。
【2021(R03)/06/09 新設】