1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問2:令和3年度

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満液式蒸発器

 乾き度や熱収支によるh7、冷媒循環量、そして成績係数を問われます。満遍なく知識を問われます。講習でポイントをつかんで過去問をこなせば大丈夫でしょう。

第一種冷凍機械責任者試験 令和3年度(講習検定試験)

 下図に、R410Aを冷媒とする管内蒸発方式の満液式蒸発器を使用した冷凍装置の略図を示す。この装置を下記の理論冷凍サイクルの条件で運転して50kWの冷凍能力を得たい。これについて、次の(1)~(4)にそれぞれ解答用紙の解答欄に計算式を示して答えよ。(20点)

(運転条件)
 圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h1 = 410 kJ/kg
 理論断熱圧縮後の圧縮機吐き出しガスの比エンタルピー  h2 = 470 kJ/kg
 受液器出口の冷媒の比エンタルピー           h3 = 248 kJ/kg
 蒸発器入口冷媒の非エンタルピー            h6 = 156 kJ/kg

令和元年度3種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置概略図
冷凍装置概略図

(1)圧縮機の冷媒循環量qmr(kg/s)を求めよ。

(2)蒸発器出口(点7)の冷媒蒸気の乾き度x7が0.8であるとき、蒸発器の冷媒循環量qmo(kg/s)を求めよ。

(3)圧縮機の理論断熱圧縮動力Pth(kW)を求めよ。

(4)理論成績係数(COP)th.Rを求めよ。

なにはともあれ、、p-h線図を書きましょう。

令和3年度1種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置概略図 令和3年度1種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置のp-h線図

  • 受液器より出た冷媒液は膨張弁を経て、気液混合冷媒点4となって液集中器に入る。(qmr)
  • 気液混合冷媒は、飽和液点5と乾き飽和蒸気点1に分離される。
  • 飽和液点5は溜まっている液分相当(高さ)の、圧力が加わった点6の過冷却液となって出口より蒸発器に入る。(qmo)
  • 蒸発器の冷媒は熱交換し一部が蒸発する。
  • 蒸発器出口の冷媒は湿り蒸気の状態点7で液集中器に再び入る。(qmo)
  • 液集中器に入った湿り蒸気の飽和液分は下部に落ち、乾き飽和蒸気は点4で流入した乾き飽和蒸気と共に(qmr)圧縮機に入る。点1

(1)圧縮機の冷媒循環量qmr(kg/s)を求めよ。

 設問で冷凍能力が50kWと指定されていますので、冷媒循環量qmrといえばこの式です。

 冷凍能力をΦoとする。

  Φo = qmr(h1 - h4 (← 3冷レベル)

 よって、

  qmr = Φo / h1 - h4
     = 50 / 410 - 248
     = 50 / 162
     = 0.3086419
     ≒ 0.309

   答え 0.309(kg/s)

令和3年度1種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置の概略図縮小版

(2)蒸発器出口(点7)の冷媒蒸気の乾き度x7が0.8であるとき、蒸発器の冷媒循環量qmo(kg/s)を求めよ。

 乾き度については、当サイトでは、問3攻略ページでまとめてあります。「1種冷凍学識計算攻略-一寸:乾き度xについて」

 と、言って終わるのも何なので、ここにコピペしておきましょう。


乾き度x説明用p-h線図1

 図は点cの乾き度をxcとすると、 飽和液Aが(hC - hA)の熱エネルギーを受け入れ点Cとなった。という、基本の一例p-h線図である。

 ここで、点Cの乾き度xcは、

乾き度x基本式 である。


乾き度x7のp-h線図

乾き度x7式 ここに、h5=h6

 数値代入しましょ。

乾き度x7式へ数値代入


 さ、(1)でqmrを、ここでh7を求めましたので、qmoを求めるため「液集中器」の熱収支を組み立てましょう。

令和3年度1種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置の液集中器ヒートバランス用説明図

令和3年度1種冷凍講習検定試験問2 満液式蒸発器冷凍装置のp-h線図(h7の値あり)

 さて、図は液集中器辺りを抜き出して、冷媒循環量qmrと蒸発器の冷媒流量qmoを書き込んでみました。

 じゃ、左辺に入るもの、右辺に出るもので熱収支(ヒートバランス)の式を組みましょう。

  qmrh4 + qmoh7 = qmoh6 + qmrh1  です。

 qmrとqmoでまとめます。(エンタルピーの大きい方から引き算するように)

  qmo(h7 - h6)= qmr(h1 - h4

 よってqmoは、

  熱収支から導き出したqmoを求める式
   ここに、h5 = h6、h3 = h4

では、数値代入しましょ。

   熱収支から導き出したqmoを求める式へ数値代入


   答え 0.246(kg/s)

(3)圧縮機の理論断熱圧縮動力Pth(kW)を求めよ。

 理論断熱圧縮動力Pthといえば、

  Pth = qmr(h2 - h1) (← 3冷レベル)

 では、数値代入。

  Pth = 0.309 × (470 - 410)
     = 18.54


   答え 18.5(kW) (18.54でも正解でしょう。)

(4)理論成績係数(COP)th.Rを求めよ。

 理論成績係数(COP)th.Rといえば、

  (COP)th.R = Φo / Pth (← 3冷レベル)

 では、数値代入。

  (COP)th.R = 50 / 18.54
       = 2.6968716 (18.5で計算した場合 = 2.7027027)
       ≒ 2.7


   答え 2.7

コメント

 (2)qmoを求めるため、乾き度x7よりh7を導き出し液集中器の熱収支を把握しているかが問われます。(1)(3)(4)は3冷レベルのサービス問題でした。講習をしっかり聞き取れば大丈夫でしょう。

訂正箇所履歴

【2021(R03)/06/09 新設】

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