問1 下図の理論冷凍サイクルp-h線図において、次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち正しいものはどれか。ただし、装置の冷媒循環量は540kg/hである。
イ.冷凍能力は、約23.1冷凍トンである。
ロ.凝縮器の放熱量は、約27.9kWである。
ハ.冷凍サイクルの成績係数は、約4.84である。
ニ.蒸発器入り口の冷媒の乾き度は、約0.75である。
(1)イ、ハ (2)イ、ニ (3)ロ、ハ (4)イ、ロ、ニ (5)ロ、ハ、ニ
この問題は、2種にしてはヤバイです。トラップも満載です…。
冷凍能力といえば、この式。
ここで、冷媒循環量qmrの単位に注意!秒に変換すること。(3600で除します。)
Φo = 540/3600 ×(410 - 256)= 0.15 × 154 = 23.1(kw)
ここで、安心してはいけません!
問では、約23.1「冷凍トン」(Rt)とあります。(私は、ひっかかってしまいました(汗 )
ここで、復習。
1(Rt) = 3.86(kw) ≒ 13900(kJ/h) ≒ 3.86 (kJ/s) 1(kW) = 1(kJ/s) = 3600(kJ/h)
というわけで、
23.1 / 3.86 = 5.984456 ≒ 6(Rt)
なので、イ.は、×
凝縮器の放熱量Φkといえば、この式。(上級テキストP1)
Φk = Φo + Pさらに、Φkといえば、
Φk = qmr(h2 - h3)ちなみに、Pは
P = qmr(h2 - h1)
イ.の問題で、Φoは求めてありますし、qmrとh1~h4までの値も分かっていますので、Φkをいきなり求めても良いですし、Pを求めて足し算しても良いです。
そうですねぇ、次の問題で成績係数を求めますからPを求めておいたほうが良いでしょう。
じゃ、圧縮動力は
P = qmr(h2 - h1)= 0.15 ×(441.8 - 410) =0.15 × 31.8 = 4.77kw
足し算して、
Φk = Φo + P = 23.1 + 4.77 = 27.87 ≒ 27.9kW
おまけ。Φkを冷媒循環量と比エンタルピーから求めてみると、
Φk = qmr(h2 - h3) = 0.15 ×(441.8 - 256) =0.15 × 185.8 = 27.87 ≒ 27.9kw
というわけで、ロ.は、◯
成績係数といえば、この式。
COP = Φo/P
イ.とロ.で、計算した値を当てはめるだけです。
COP = Φo/P = 23.1 / 4.77 = 4.8427673 ≒ 4.84
ハイ!ハ.は、◯
乾き度の問題は2種では近年出題されていませんでした。どうしましょって感じです。(上級テキストでは、<8次:P6>あたりです)
解答を見ると、(3)ロ、ハ (5)ロ、ハ、ニ の、どちらかになるというわけです。
23年度最大のトラップが待ち受けていました…。
この問題では、
Poの圧力である飽和液線上の比エンタルピー(206.3kJ/kg)の点をh5としましょう。
同じく乾き飽和蒸気線上の点(406.3kJ/kg)をh6としましょう。
そうすると、蒸発器入り口(h4)の乾き度x4は、
X4 =(h4 - h5)/(h6 - h5)
=(256 - 206.3)/(406.3 - 206.3)
= 49.7 / 200
= 0.2485 ≒ 0.25
この式は、p-h線図をジ~っとみているうちに何となく分かると思います。(飽和液線上は、乾き度0で、乾き飽和蒸気線上は乾き度1.0です)
蒸発器入り口の冷媒の乾き度は、約0.25である。
よって、ニ.は、×
平成23年度は基礎的なものが出題され、トラップがたくさんありました。
テキストをまんべんなく目を通しておく必要があるでしょう。疲れました…。
【2016/08/30 新設】(← 履歴をここに作った日)
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