3種「保安」内検索

冷却管内蒸発器について(P88,89)

冷却管内蒸発器

冷媒液強制循環式サイクル図
冷媒液強制循環式サイクル図

冷却管内自然循環式サイクル図
冷却管内自然循環式サイクル図

8次改訂版コメ: 8次では蒸発器の種類が変更され、冷媒液強制循環式蒸発器は満液式蒸発器に組み込まれた。さらに、冷却管内蒸発器(テキスト<8次:P88 >)の分類に入り、さらに強制循環式自然循環式の2つに分類される。
 強制循環式は、さらに細かく(a)~(d)に集約?されて説明が分かりやすくなったと思う。基本的な内容は変わっていないので、過去問をこなせば大丈夫だろう。

強制循環式P88

・膨張弁から流出する冷媒をそのまま蒸発管に導き、飽和液が周囲から熱を取り込んで乾き飽和蒸気となり、さらに、いくらか過熱された状態で蒸発管から出て行くようにした蒸発器を、冷媒液強制循環式蒸発器という。 H22/07 答え

【×】 これは乾式蒸発器である。
 テキスト<8次:P79 (7.2 乾式蒸発器)の冒頭部分の乾式の説明と、テキスト<8次:P87 3行目~ (7.3.1 冷却管外蒸発器)>を比較して頂きたい。これを逃すようであれば、まだ勉強不足。

・低圧受液器から蒸発器の蒸発量より多い冷媒を液ポンプで強制的に送り込む。未蒸発の冷媒液は気化した蒸気とともに低圧受液器に戻る方式を冷媒液強制循環式冷凍装置、または液ポンプ方式という。 by echo 答え

【◯】 構造は頭の中でイメージできれば最高MAXですね。

冷媒液強制循環式サイクル図
 蒸発器(冷却管内では)冷媒液が存在して蒸発している(過熱部分がない)ので、良好な熱伝達率が得られます。


伝熱上の利点P88

 熱伝達率、冷凍装置の大小、冷媒充填量などが問われます。

・冷媒液強制循環式蒸発器は、冷却管における冷媒側熱伝達率が大きく、一般的に小さな冷凍装置に用いられる。 H28/07 答え

【×】 テキスト<8次:P88 ((a) 伝熱上の利点 )>の4行目。引用しときます。

しかし設備が複雑になるので,大規模の冷蔵庫に使われ,小さな冷凍装置には用いない.  
と、いうことです。

・冷媒液強制循環式蒸発器の冷却管には蒸気を過熱する部分がなく、冷媒側熱伝達率が大きい。設備が複雑になるが大規模な冷凍装置に用いられ、多数の蒸発器を分散設置した遠方の蒸発器にも充分に液を供給できる利点がある。 by echo 答え

【◯】 正解!(テキストの4行をまとめた問題文です。)

・蒸発器は冷媒の蒸発形態により乾式蒸発器、満液式蒸発器に分類される。満液式蒸発器である冷媒液強制循環式蒸発器は大規模の冷蔵庫などに用いられ、乾式蒸発器に比較して冷媒の充てん量が多くなる。 by echo 答え

【◯】 なにげに蒸発器の分類知識も問われます。(この問題文は平29年度に出題されたものを前半の分類記述を8次改訂版対応に改編したものです。)

・乾式、満液式および冷媒液強制循環式の冷媒供給方式の中で、冷媒充填量が最も少ないものは、冷媒液強制循環式である。 H12/07 答え

【×】 冷媒液ポンプで強制的に循環させているため、熱伝達率は大きくなるが設備が複雑になる大型冷蔵庫等に使われ、大量の冷媒液が必要となる。最も少ないのは乾式である。テキスト<8次:P88 ((a) 伝熱上の利点)>の最後の太字2行。


適正な冷媒流量P88

 「約3~5倍程度」がポイント

・冷媒液強制循環式蒸発器に液ポンプで送る冷媒液量は、蒸発量の約3~5倍程度にしている。 H16/07 答え

【◯】 「冷媒液強制循環式蒸発器の、液ポンプでの送液量は蒸発液量の約3~5倍!」とおぼえる。 テキスト<8次:P88 ((b) 適正な冷媒流量)>テキストは、わずか2行だけである。

・冷媒液強制循環式蒸発器において、液ポンプにより強制循環する冷媒液量は、蒸発器で蒸発する冷媒量だけで十分である。 H24/07 答え

【×】 ちゃう、ちゃう、3~5倍でしょ。


油抜き(油戻し)P88、89

 冷媒液強制循環式蒸発器では、アンモニア(油抜き)とフルオロカーボン(油戻し)と2通りの説明が記されている。テキスト<8次:P88 ((c) 油抜き(油戻し))

 フルオロカーボン強制循環式蒸発器は、シェルアンドチューブ満液式蒸発器の油戻し(<8次:P87最下行~P88の2行目まで>)と同様です。

・アンモニア冷媒液強制循環式蒸発器内の潤滑油(鉱油)は、冷媒と共に低圧受液器に戻るため、低圧受液器から油抜きをする。 H13/07 答え

【◯】 その通り! ここで、アンモニアは「油抜き」フルオロカーボンは「油戻し」の違いに注意すべし!

補足: アンモニア冷凍装置の場合、圧縮機吐き出しガス温度が高く冷凍機油は劣化しやすいので、通常、高圧側低圧側から抜き出した冷凍機油は装置外に排出する。(つまり廃棄油にすると思います。)アンモニア冷媒の場合「油戻し」と言わないです。テキスト<8次:P181 「14.7.2 装置内の冷凍機油の処理方法」>を参照してください。

・冷媒液強制循環式蒸発器では、低圧受液器から蒸発液量の約3~5倍の冷媒液を液ポンプで強制的に循環させるため、潤滑油も冷媒液とともに運び出され、蒸発器内に油が滞留することはない。 H21/07 答え

【◯】 ぅむ。 蒸発器内に滞留しない冷凍機油は、フルオロカーボンの場合は低圧受液器の液面近くに濃縮し、アンモニア冷媒中の油は低圧受液器の底部に溜まる。テキスト<8次:P88下3行~P89>

・液ポンプ方式の冷凍装置では、蒸発液量の3倍から5倍程度の冷媒液を強制循環させるため、蒸発器内に冷凍機油が滞留することはない。 R02/07 答え

【◯】 そうだね。フルオロカーボン冷凍装置では、多量の冷媒液によって蒸発器内の冷凍機油は洗い流されてしまいます。アンモニアは冷凍機油が分離しているため蒸発器内に滞留せず低圧受液器の下部に溜まるので油抜き弁から冷凍機油を抜き出します。

・フルオロカーボン液ポンプ方式の冷凍装置では、蒸発器内に冷凍機油が滞留することはない。冷媒に溶け込んだ冷凍機油は、低圧受液器の液面近くの冷凍機油濃度の高い冷媒を抜き出し、加熱器で分離し冷凍機油を圧縮機へ戻す。 by echo 答え

【◯】 この低圧受液器の油抜きの方法は、シェルアンドチューブ満液式蒸発器の油抜き(テキスト<8次:P87最下行~P88の2行目まで>)と同じ方法です。


液面制御P89

 液面制御は、平成29年度に1問のみのレアな問題である。予想問題を記しておきましょう。

・液ポンプ方式の液ポンプ位置と液面の高低差が小さいと、ポンプ吸込口までの液にフラッシュガスが発生し液ポンプ動作に支障が出る。 by echo 答え

【◯】 はい。解説略(疲れ)テキスト<8次:P89 7行目~>

・冷媒液強制循環式蒸発器の冷媒液ポンプは高圧受液器の液面より低く、低圧受液器の液面より高い位置に置き、低圧受液器からの飽和状態の冷媒液がポンプ入口までに気化することを防ぐ。 H29/07 答え

【×】 素直な良いバツ問題と思います。テキスト<7次:P82 (7.4.4 液面制御)
正しい文章は、
  冷媒液強制循環式蒸発器の冷媒液ポンプは高圧受液器の液面より低く、低圧受液器の液面より充分下側に置き、低圧受液器からの飽和状態の冷媒液がポンプ入口までに気化することを防ぐ。

・冷媒液強制循環式蒸発器では、低圧受液器からの飽和状態の冷媒液がポンプ入口までに気化することを防ぐため、冷媒液ポンプは低圧受液器の液面より約2mほど高い位置に設置する。 by echo 答え

【×】 逆です。テキスト<8次:P89 10行目>

冷媒液強制循環式蒸発器では、低圧受液器からの飽和状態の冷媒液がポンプ入口までに気化することを防ぐため、低圧受液器の液面冷媒液ポンプより約2mほど高い位置に設置する。

冷媒液強制循環式の液面とポンプ高低差説明図
液面とポンプ高低差説明用サイクル図

・冷媒液強制循環式蒸発器の低圧受液器は、高圧受液器からの冷媒液流入量をフロートスイッチ、電磁弁および流量調整弁で制御している。 by echo 答え

【◯】 はい。テキスト<8次:P89 11行目~>


自然循環式P89

 自然循環式は、過去問はない、これからも出題されないかもしれない…。(2022/01/05記ス)

・冷却管内蒸発自然循環式冷凍装置は、液集中器で蒸気を分離し、冷媒液面位置を一定に保っている。 by echo 答え

【◯】 この程度の問題しか出ないと思う。

冷却管内蒸発自然循環式冷凍装置サイクル図
冷却管内蒸発自然循環式冷凍装置サイクル図

 22/01/05

 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版への見直し、済。(22/01/05)

修正・訂正箇所履歴

【22(04)/01/05 新設】

  • -

Back to top ↑

【参考文献】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

Back to top ↑

^